第24回 台湾の先住民族 講師:宮岡真央子(福岡大学)
https://youtu.be/tDJIo05mfEQ
第24回の講師は前回に引き続き福岡大学の宮岡真央子先生です。宮岡先生のご専門は文化人類学で、ツォウを中心に台湾先住民族の社会と文化を調査するとともに、日本統治時代に台湾で活動した人類学者たちについても研究されています。
今回のテーマは「台湾の先住民族」。「第23回 台湾のエスニシティ」では、多様なエスニック・グループ(「族群」)によって構成される台湾社会について巨視的にお話しいただきましたが、今回は最も長い歴史を持つ先住民族に焦点を絞って語っていただきました。漢民族系の住人が人口の大多数を占め、所謂「中華圏」の一部とみなされることも多い台湾ですが、その根幹には、オーストロネシア語族系先住民族の文化があります。現在、台湾では、16の先住民族が政府によって公式に認められていますが、その異同、即ち、16の民族の基層文化における共通性と、それぞれ固有の特徴がもたらす多様性について、数々の貴重な写真とともにご紹介いただいています。先住民族の存在が認められ、その文化が尊重される今日の台湾はいかにして出来上がったのか、先住民族文化の現在地はどのようなものか、また、台湾現地で公的に用いられる「原住民族」という呼称が含む肯定的な意味合いについて、宮岡先生と一緒に考えていきましょう。
宮岡先生のプロフィールは、以下のページをご覧ください。
【プロフィール】
https://researchmap.jp/read0130457
本動画に関わりのある宮岡先生の著作に、「原住民/先住民」(明石書店、赤松美和子・若松大祐編『台湾を知るための72章【第2版】 (エリア・スタディーズ147)』159-163ページ、2022年)があります。先住民族の文化、歴史、現況について概説しています。
また、「台湾の先住民とは誰か:原住民族の分類史と〈伝統領域〉概念からみる台湾の先住性」(野林厚志氏との共著、世界思想社、窪田幸子・野林厚志編『「先住民」とはだれか』、293-317頁、2009年)は、民族分類の変遷と土地観のあり方から、台湾で誰が先住民族と見なされてきたのかを検討した論文です。
『「先住民」とはだれか』出版社のページ
https://sekaishisosha.jp/book/b353953.html
先住民族が戸籍に登録する名前は過去には日本式、その後は漢式のものが用いられてきましたが、今日では民族固有の名前の使用も認められています。「ツォウの名前の過去と現在 : 台湾原住民族の固有名回復に関する一考察」(野林厚志・松岡格編『台湾原住民の姓名と身分登録』国立民族学博物館調査報告147、127-153頁、2019年)は、ツォウについて名前の歴史を振り返り、現状と課題を検討した論文です。
『台湾原住民の姓名と身分登録』刊行元のページ
https://minpaku.repo.nii.ac.jp/search?page=1&size=20&sort=custom_sort&search_type=2&q=719
(PDFで論文が取得可能です)
また、宮岡先生は、『みんなの台湾修学旅行ナビ』で「牡丹社事件紀念公園」(屏東県)、「阿里山逐鹿部落veoveoana」(嘉義県)、「台中市ポウマ国民小学校」(台中市)などのページを執筆されています。それぞれ、日台関係史の中での先住民族、先住民族と災害復興、民族教育という興味深いテーマを含んでいます。動画と併せてご一読ください。
「牡丹社事件紀念公園」
https://taiwan-shugakuryoko.jp/spot_south/872/
「阿里山逐鹿部落veoveoana」
https://taiwan-shugakuryoko.jp/spot_south/2737/
「台中市ポウマ国民小学校」
https://taiwan-shugakuryoko.jp/spot_central/882/